

レザーのカービング加工とは?特徴や必要な道具をご紹介
レザー製品は、優れた耐久性や使い込むほどに味わい深くなる経年変化が特徴で、多くの人々に愛されています。
なかでも、「カービング加工」は、レザークラフトにおいて注目される技法のひとつです。
カービングとは、革に模様を彫り込む技法のこと。
財布やベルト、バッグなどのアイテムに使用されることが多く、熟練した職人の手によって施されたカービングは、芸術作品のような存在感を放ちます。
一方で、近年では趣味としてレザークラフトを楽しむ人も増えており、道具や素材が手に入りやすくなりました。そのため、初心者でも気軽に挑戦できるようになっています。
この記事では、レザーのカービング加工とはどのようなものか、カービングの概要や特徴、必要な道具について解説します。
カービング加工に興味がある方にとって役立つ内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。
レザーのカービングとは?

レザーのカービングは、牛革や鹿革などの表面にデザインや模様を彫り入れる装飾技法です。
カービングを施すことで、革製品に独自の立体感と芸術性を持たせることができ、機能性と装飾性を兼ね備えたアイテムに仕上がります。
財布やベルト、キーケース、バッグなど、さまざまなレザーアイテムで使用されており、多くの人から人気があります。
カービング加工の特徴は、革の表面を削るのではなく、特殊な道具を使って彫り込みや打刻を行うことです。
このような加工方法によって、デザインが表面に留まらず、深みのある立体的な模様を生み出すことが可能です。
また、彫り込んだ部分は光の当たり方で陰影が変化し、見る角度によって異なる美しさを感じさせます。
さらに、カービングには職人の技術力や想いが強く反映されます。
同じデザインでも、施す人によって仕上がりが異なるため、一点物の特別感が味わえるのも大きな魅力です。
レザーのカービングは、手作りの温かみと職人の技術、想いを込めたアート作品といえるでしょう。
カービングの歴史
レザーカービングの起源は、15世紀末にスペイン人がアメリカ大陸に持ち込んだ馬具の装飾にまで遡ります。
当初は馬の鞍(サドル)にカービングが施され、滑り止めとして使われていましたが、次第に装飾的な模様として発展しました。
19世紀から20世紀にかけて、アメリカではウエスタンサドルの装飾としてカービング技術が広がり、その後ベルトや財布といった小物にも応用されるようになりました。また、戦後には工具や本が普及し、レザーカービングは趣味として一般にも広がったのです。
現在では、伝統的な技法を守りつつ新しいスタイルも生まれ、アメリカだけでなく日本やヨーロッパなど、世界中で愛好者が増え続けています。
カービングは長い歴史を持ちながらも、常に進化を続けている技法といえるでしょう。
カービングで表現できるもの
レザーカービングは、革の表面にデザインを彫り込むことで、多様な表現が可能です。
初心者から革加工の職人まで、個性を活かした作品作りに挑戦できるのが、カービングの魅力といえるでしょう。
ここでは、カービングで表現できる代表的なスタイルやモチーフを紹介します。
植物模様
花や葉、ツタなど、植物を題材にしたデザインはレザーカービングの中でも特に人気があります。
「シェリダンスタイル」と呼ばれる技法を使うことによって、曲線や細部の美しさが表現でき、優雅で洗練された印象を与えられます。
動物や人物
動物や人物といったモチーフを彫り込むことも多いです。
特殊な道具や染料を使って立体感を出し、生命感あふれるデザインに仕上げることができます。
幾何学的デザイン
直線や曲線を組み合わせた「幾何学模様」も、カービングでよく用いられる表現のひとつです。
このデザインはモダンでスタイリッシュな印象を与え、伝統的なスタイルとは異なる雰囲気を演出します。
シンプルでどんな革製品にも合うのも人気の理由です。
伝統文化に基づくデザイン
地域や文化に根付いた伝統模様もカービングでよく取り入れられます。
例えば、ケルト模様や和柄など、歴史的背景や象徴的な意味を持つデザインは、革製品に独自の個性と深みを加えてくれるでしょう。
オリジナルデザイン(フィギュアカービング)
カービングの醍醐味は、自分だけのオリジナルデザインを自由に作り上げられる点です。
独自のアイデアや創造性を活かして、世界に一つだけの作品を生み出すことができます。
レザーのカービングに必要な道具

カービングに使う道具はたくさんありますが、ここではカービングに初めて挑戦する人が最初に揃えるべき基本的な道具について解説します。
慣れてきたら、技法や目的に応じて道具を追加していきましょう。
革素材
カービングに欠かせないのが革です。
カービングに使用するのは、「タンニンなめし」という水を含むと柔らかくなり、加工がしやすい革。
その中でも、初心者の場合は「タンロー」が特に向いています。
石
カービングの下敷きとして使う石は、打刻時の力を受け止める役割があります。
できれば、厚みがあるものを選ぶと安心です。
一般に売られているものは大理石が多いですが、より頑丈なものを求める場合は、「御影石」を使用すると良いでしょう。
ただし、御影石は鉄分を含み、革が酸化してしまう可能性があるため注意が必要です。
紙・ペン・トレーシングペーパー・鉄筆
カービングには、まず図案の作成が欠かせません。
紙とペンでデザインを描き、それをトレーシングペーパーに写します。
トレーシングペーパーは耐水性のあるものを選び、革への転写時に図案が滲まないようにしましょう。また、革への転写には鉄筆を使うことで、細かな描写が可能になります。
スーベルナイフ
スーベルナイフは、革表面をカットするための専用ナイフです。
正確なラインカットはカービングの仕上がりに大きく影響します。
刃の形状や厚みにはさまざまな種類がありますが、初心者は標準的な刃厚のものから始めると良いでしょう。
刻印
刻印は、革に模様やテクスチャを加える道具で、多種多様な形状があります。
初心者が最初に購入する場合は、「ベベラ」という刻印がおすすめです。
シンプルなデザインであれば、ベベラとスーベルナイフ、打ち具があれば十分に作成できます。
慣れてきたら、徐々に刻印の種類を増やして、表現の幅を広げていきましょう。
打ち具
刻印を革に打ち込む際に使う打ち具には、モールやマレットと呼ばれるものがあります。
打ち具の形状はさまざまですが、初心者は軽めの10~12オンスのものを選ぶと扱いやすいです。
打ち込みたい深さや表現したいデザインに合わせて、最適な打ち具を選びましょう。
カービング中級者におすすめの道具
基本の道具を使ってのカービングに慣れたら、さらに便利なアイテムを追加してみましょう。
例えば、「ペアシェイダー」や「バックグラウンダー」などの刻印は、模様に奥行きや質感を加えることができます。
また、染色の明暗を際立たせる「アンティック」や仕上げに使う「色止め剤」もおすすめです。
こうした道具を使うことで、作品の完成度を大幅に高めることができます。
まとめ
レザーカービングは、美しいデザインと職人の技術が融合した魅力的な技法です。
初心者から熟練者まで、自分のアイデアを形にできる自由度の高さも大きな魅力といえるでしょう。
レザーアイテムを購入する際には、ぜひ職人の想いが詰まったカービングにも注目してみてください。
また、基本の道具を揃えてカービングに挑戦するのもおすすめです。
革と向き合い、自分だけのオリジナル作品を作り上げることで、レザーの世界がさらに広がることでしょう。
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